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内戦のシリアの菓子 ナツメ対干し柿昼間の決闘 [料理]

たまに日本に帰って家で「好きだ」と妻に言うと
「うるさいっ、今TV見てるの!」と言われる。

本当にここ数年というもの、妻は日本語の誤用が激しい。 

日本にいるので当方より日本語能力は高いはずだが
愛おしい、というべきところを鬱陶しいと言い間違えたり、
そう、私も愛してる♪ を うるさい、今TV見てるの!
と照れ隠しで言ったりする。 


仕方なく、妻に似ている夏目雅子の写真ならぬお土産で持ち帰った
干しナツメに「好き!」と呟くと、ナツメは甘さを一層増すのである。

初めて食べたその日から恋が芽生えるナツメヤシ。

普段気儘に暮らしているように見える中東の人間もナツメヤシには
少しうるさい。 酒を飲まない分、甘いものの味に敏感なのかもしれない。

種類や産地にはけっこうこだわる。ナツメヤシの道は意外に奥が深いのだ。

ナツメヤシ界の中でも特にチュニジア産のそれは
イケルと言われている。
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しかし、今回は地元のオマーン産を買い込む。粒は中型種。
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ちょっとだけエグミあり、それも個性。


ナツメヤシと言えばナツメヤシ界のエルメス、ロールスロイスともいわれる
頂点に位するBateelブランドの出店がオマーンにもあった。
IMG_1373.JPG

アラブ各地から集めら、繊細な加工を施された大粒のナツメヤシ達。 
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シンプルに乾燥したもの、柑橘の皮を甘く煮詰めたオレンジピールを挟んだり、
ナツメシロップをかけたりしたもの。税金のかからぬオマーンにして
1㎏あて3500円ほどから。

デリーで一個270円する干しナツメヤシはここでは160円ほどになる。
やっぱり結構なお値段。 でも既にオマーン産を買ってしまったので
ここで珍品のシリア産の手造りお菓子を買って石井亭に持ち込む。
IMG_1375.JPG

ダマスカスからの飛行機が飛ばない今、いったいどうやって
オマーンまで持ち込まれたのだろう。 人の手で陸路を命懸けで
運ばれたお菓子はあくまで繊細な細工。 いい仕事してます。
味もお上品なまろやかさ。 この感じがインドには無いんだよなぁ。

はやく内戦静まってくれれば行ってみたいなシリアにも。
ダマスカスで太古から製法が伝わるというワインを飲んでみたいものだ。


さて今回の訪問にあたっては密かにとある日本対オマーンの
甘味対決を企んでいた・・・
題して「ナツメ対干し柿 昼間の決闘」

広く中東に広がるナツメヤシの文化に対抗できる日本の唯一の
食べ物としては干し柿ではないかとかねがね思っていた。 

果たして干し柿はオマーンのナツメヤシに抗して道場破りが
できるものであろうか。

いよいよ10年来の疑問を試す機会がきた。

日本代表の枯露柿君満を持してのオマーン戦登場です!
P5190421.JPG

知り合ったオマーン人に柿の木の写真を見せ、決して怪しいもの
ではない、しかもベジだ、と説明し、自ら食べてみせたのだが、
食べようとしない・・・

しばし見つめた後、私に悪いと思ったのだろう、
千切って少しだけ口に入れ、複雑な表情を見せる。
 
感想は・・・「初めて食べた味 I've never tasted this.」

うん、そりゃそうだろう。で美味しい?

「ありがとう、もういいや Thank you, it's enough. 」

感想なしかよ! いや、それが感想か。

かくて干し柿君の他流試合はもろくも敗れ去ったのだった・・・
ナツメに通じるおいしい甘さだと思うけどなぁ。

ただ、確かに甘さの濃縮度合いでは負ける。 

この照りつける太陽の下では日本の菓子の甘さは薄すぎるのだろうか。

次は外郎(ういろう)と虎屋の羊羹でも持ってくるか。
ハラル認証とベジマークつけてくれればオマーンでも…やっぱり売れないかな…


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