SSブログ

エベレスト登頂 [登山]

親愛なる妻へ。

私はスポンサーを探してあの大きな山に登ってみたいと考えているお馬鹿さんの一人です。
自分では500万円の資金も、3ヶ月の休暇も用意できません。

本日、とある共同通信の記事を読み、思った事を書き留めておきます。

【キャンベラ25日共同】15日に、両足を切断した人で初めて世界最高峰のエベレスト
(8,850m)登頂に成功したニュージーランド人のマーク・イングリスさん(47)ら約40人が、
頂上付近で倒れている男性に気付きながら救助せず、登山を続けていたことが分かった。
男性はその後、酸素欠乏で死亡した。
1953年に世界で初めてエベレストを征服したニュージーランドの登山家エドマンド・ヒラリー卿(86)
は、男性を見捨てたと非難しているが、イングリスさんは「自分ができることは何もなかった」と
反論。登山家の倫理をめぐり議論を呼んでいる。

・・・高所登山をして感じたのですが、低酸素、低圧状態では一歩一歩が本当に辛いものです。 

酸素を吸っていてもその酸素供給量は標高で言えば、余裕の有る隊で5500m並、普通は6000m
地点の低酸素レベル。一歩あたり2-3呼吸つくか、素早い呼気を継続的に繰り返す事が必要です。また、そうして酸素吸入をしていても血中酸素飽和度は平地で言えば酸素吸入を行う
レベルにまで下がります。
 
無酸素登頂を目指している人でない限り、自分のボンベの酸素が無くなれば脳障害でキャンプ
まで帰り着けずに死んでしまう。

そのような環境下、酸素切れして倒れた人間を介護・救護するというのは自分の命を賭けた
決断です。ましてや人の移送は非常に大きな身体への負担となり、鉄人並みの体力を要します。

人道的にはもちろん目の前にいる遭難者を救助したいのは山々ですが、いざ自分がそのような
状態に置かれても、よっぽど自分の体力に自信が有る人が他に4-5人居ないと移送はとても無理
かと推察いたします。しかも比較的そういった体力に恵まれたガイドやシェルパは自分のお客さん
の命が最優先ですから、遭難者救助要員としてはあてにはできません。また、運よくキャンプに戻っ
てからもその遭難者にあてる酸素の絶対量や、ヘリが決死で飛んでくれるC2までの移送要員に
余裕がないと結局は助けられない。従って、頂上直下から救助しようと考えても、二重遭難を避けて
救出できる確率は非常に低いことになります。 

これらの結果、アタックキャンプのサウスコルから山頂までの間には遭難者の遺体が所々に
見受けられ、それをおろす事も難しい、たいへんいたましいルートになっているというのが現状の
エベレスト(ネパールルート)での登山との事らしいです。

本件、そういった現状を踏まえた上での論評以外は平地における倫理的・道徳的にいかがかという
お話は「なし」にしてもよろしいかと思います。 ですから、私が運よくエベレスト登頂の機会に
恵まれ、そして運悪く高所で果ててしまっても、それは責任は全て私にあります。 


エベレスト、地上では大きな山ですが、宇宙から見たらそれは単なる地表の「しわ」です。 
そのしわに命を賭ける、「お馬鹿さんなカバ夫を持った」のだと諦めてください。

ではまた。 泉


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。