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紅テントと黒テントの思い出

演劇はアナーキーな気分の時、突然思い出して懐かしむ事の一つ。

四半世紀以上前、紅テント、黒テントの演劇を見に行っていた時があった。
80年代はまだ70年安保の残渣を引きずるちょっと上の年代の団塊世代の人間が多かったせいか、
その影響を受けたアングラな気分を持った学生がまだたくさん居た。 冬の寒い日に、学校を早めに
出て、バイトで稼いだお金を送って得たチケット(黒テントは観劇券は前払いだった)を握り締めて
羽根木公園や、大泉学園のテントで芝居を見た。 天井桟敷も当時話題だったレミングだけは
見に行った。(よく分からなかったけれど)

状況劇場に関わりのあった四谷シモンや麿赤兒は相変わらず活躍しているが、あのときの黒テント
主宰だった佐藤信は今や東京学芸大学の教授(!)。紅テントの唐十郎も横浜国大の教授を経て、
劇は新国立劇場(!)で公演され、子供だって俳優として油の乗った年代に差し掛かっている。

時の移り変わりを感じる。私も中年のおじさんになってしまった。

20代の頃に劇を少し齧って別役実のものを二作ほど演じた事がある。 
参加して初めて判ったが、演劇とは面白さと難しさを兼ね備えた芸なのだと思った。 いかに他を
演じられるか、いかにそこに自己を表現するか、あれは考えれば考えるほど難しいものだ。

前衛舞踊や前衛芸術、あるいはピカソの絵画の良さというものは若い時にはさっぱり判らなかった
のだが、とある時からその深さを味わえるようになってきた。 きっかけはパリのピカソ美術館を
訪問した事だった。 何故訳のわからないようなものを描くのか、という疑問があそこで氷解した。
そしてその事に感動し、ピカソの愛にも感動し、思わず妻にあてて葉書を6枚連ねて書いて送った。

久しく演劇にも行っていないので、今年の夏休みは2CVに乗って東京に戻りがてら芝居小屋を
回ってみようかなぁ。 きっとあの頃には感じられなかった理解や、若い芝居の青臭さや、活気に
気づく事ができるような気がする。


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