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涙にけぶるアンコールワット [旅は道連れ世は情け]

バンコクから遺跡の玄関口のシェムリアップ(これは「タイ人大負け」というカンボジア語・・・16世紀
に両国間に戦争があって、ここまで攻めてきたタイは大敗したらしい・・・やはり隣国同士は仲が
悪い。そしてやられた方はやった方より深く、永く覚えているものだ・・・)まで50分のフライト。 

空港からわずか6-7km、10分も車で走ればアンコールワットの遺跡。 
それはあっけなく目の前に現れた。

 

皇居もかくやと思わせる四方を囲む大きなお濠。 お濠ばたの木陰はカンボジア人の憩いの場。


西から一本の橋が掛かる。 長さ200m余り、ということはお濠の幅がそれだけあるということ。


歩いていけばぐるりを囲む城壁に5箇所の出入り口が。


出入り口の柱には内戦の時の機関銃弾の痕が残る。

銃弾そのものも中に突き刺さっていた。 触れば乾いた錆の感触が指に残る。

出入り口から覗けば・・・とうとう来た・・・という万感胸に迫る。


ワットの回廊は随分まだ遠くだ。



寺院の第一回廊に到着。 ここは一番外側のぐるりの部分。

この部分は屋根が残っていたので、すばらしい彫刻がきれいに保存されている。

元々はヒンズー教寺院として建てられたのでここはラーマヤーナ物語や不老不死の薬を神々が
作る乳海攪拌の神話が浮き彫りにされている。 


ただひたすらため息・・・

第二回廊部分。

ここには柱という柱、壁という壁に精緻な彫刻が施されている。



つい骨董好きな私は、あぁ、これ一枚で200万円、あの天女で1000万円などと勘定してしまうが、
やがてその余りの多さに吾を忘れて壁から壁、柱から柱と渡り歩き、見物する。 しかも、
(本当は人の脂がついていけないのだが)それら全部は触れる所にあるのだ。 

最後の高台、尖塔部分の基部、第三回廊へ昇る。高さ10mほど。 
階段が結構急で、お年寄りには無理かもしれない。


同じところを上から下に見たところ。

中央の塔にはなにがあるかというと・・・

東西南北各面にこうして観音様が祀られる。 アンコールワットはヒンズー寺院だけれども今は
カンボジア国教は仏教だから・・・

アンコールワットは全て40kmかなたの山の石切り場から象が牽いて、あるいは人が船に乗せて
持ってきた砂岩を使って造られている。 膨大な数の砂岩。 建築までに37年の年月。それだけで
感動だというのに、見事なデバダー(美の女神)の群神像など彫られていて、良くこれだけのものが
残っていたなぁ、とはらはらと落涙。

見て、触れて、匂いをかいで、壁に耳をつけて聴いて、それだけでは足りずに思わず舐めてしまった
私はおかしな人間であろうか。 ムツゴロウ・畑正憲さん仕込の五感を使った対象物の感じ方だった
のだが。(ちなみにこれら群神像ではなく、柱にだが・・・なお、砂岩は人の手の加わった、あたたか
みのある、滑らかな味がした。最近は近寄る事すら無理だが、昔は妻の事も舐めるように可愛がっ
たものだ・・・)

あっという間に戻る時間が来る。
知らない間にたくさんの観光客が参道に列を為していた。 今日はどうした事か、70%の観光客が
聞きなれた言葉で話している・・・・韓国KRW高恐るべし・・・・


バイバイ、記念写真撮ってもらう。 でもデブが涙している図は美しくないので小さく載せる。
この時は涙で目が曇ってワットの塔も何もかすみの彼方にけぶっていた。


旅の〆はビール。 その名もアンコール。 
カンボジアの海沿いの港町、シアヌークビルで醸造されるもの。冷やせばそこそこいける。 

瓶は3ドル。缶は2ドルというのが相場。 もちろん一人で今日観たものを思い出しながら絵葉書を
妻に書きなぐりつつたくさん呑んだ。 そしてカンボジアの夜は更けていくのだった。


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海南鶏飯

以前タイの有名女優が『アンコールワットはタイのもの』と発言して暴動騒ぎになったことは、島根県の条例で大騒ぎする独島の民と同じだなあ。
夜の部レポート、お待ちしてます!
by 海南鶏飯 (2006-08-02 13:25) 

izumi

更けていくのだった・・・・しかし、朝5時起きで8時のフライトだったので、ホテルではバタンキューでした・・・
by izumi (2006-08-02 13:43) 

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