SSブログ

クリシュナ神のふるさと [天竺編]

クリシュナというヒンドゥーの神様がいる。
数多い神の中でもヒンドゥー教徒には大変人気のある神様である。

いったいヒンドゥー教徒の信仰する神にも地域別・属する職業別に
特徴がある。多神教の面白いところである。

アラビア海に面し、古くから開けて商業が発展している
インド西部ムンバイでは財神・智恵の神様として象の頭の
ガネーシャが一番人気となっている。

ガネーシャと並んで富と幸運の神様として知られるラクシュミー神も
商店の壁に神棚を設けて祀られているのをよく目にする。

北インドデリー周辺の農業地帯では生産活動が中心であり、
ドゥルガーという、ヒマラヤ神の娘であり、破壊神シバの奥さんが人気を
集めている。 彼女は破壊と戦いを司る神なのだが、インド人にとっては破壊と創造、
死と生は表裏一体でつながったものであるため、破壊の神様が生産者にも
受け入れられている。

そうした崇拝の心であがめ奉る神様たちと少し違うところで
人気があるのがこのクリシュナ神である。

クリシュナはいたずら好きで笛を吹いて毎日楽しくガールフレンドの
娘と戯れて牧場で暮らしているがいざというときは人間を助けて
くれる英雄なのだそうだ。

そんな自由奔放でお茶目な性格をしているところがインド人の
心の琴線に触れるのか、この神様はひろく全土で人気を集めている。

とある夏の朝、クリシュナが生まれ育ったふるさとといわれる
MathuraとVrindrumの町を訪ねてみた。

Mathura(マトゥラ)はクリシュナが生まれた生誕地として知られている。

その生誕地には二十世紀に入ってから篤志家が財産を寄付して建てられた
クリシュナ誕生寺がある。

すぐ隣接した場所に大きなモスクがあり、ここがその西隣を遮るように建てられている
せいなのだろうか、この寺は反ヒンドゥーの爆弾テロリストに数回狙われたそうで、
中に入るにはカメラはおろか携帯電話もシムカードすらも入り口横のクロークに
2ルピー払って預けていくという、厳重なセキュリティーのシステムが取られていた。
DSC05860.JPG


中は小高い丘になっており、古都マトゥラの町が見渡せる。

生誕の場所はお堂で覆われており、敬虔な信者が額づいていた。 
どことなくイェス・キリストが厩で産まれたのを再現した基督教会の
さまにも似て趣き深い光景であった。


このマトゥラの町から北に14-5kmいったところにVrindrumという町がある。
クリシュナが育ったところにできた町という。


ディーゼル車の鉄道が二つの町を結ぶ。 
所要時間約30分、料金は5ルピーだそうだ。
DSC0753210.jpg


ここはヒンドゥー寺院の密度が高く、4000もの祠や寺院があるのだという。
 

静かな町の路地を歩く。 確かに民家に混じってお寺や祠が祀られている。
DSC0755010.jpg


ここでは牛と犬と猿と人間が共存する。
DSC075378.jpg


牛がたくさんいる。
DSC0755710.jpg
奥の方にあるのは丸めて円盤状にした牛の糞。 燃料として使われる。



家に首を突っ込んでおねだりする牛。
DSC0754510.jpg


そしてチャパティーを喜捨する家の人。
DSC0754712.jpg


代わりに乳を採る。
DSC0755110.jpg


一帯は静謐でおとぎの世界のようだ。

何故か奈良の高畑あたりにいるような錯覚を覚える。


「ナマスカール!」 少年に挨拶されて現実世界に引き戻された。
DSC0754810.jpg


町の入り口に巨大な神様の像が建立されているのに挨拶しながらデリーに戻った。
DSC0757218.jpg

Vrindrem、いいところだなぁ。

写真を焼いて今度この少年を再訪することに決めた。



nice!(0)  コメント(1) 
共通テーマ:旅行

nice! 0

コメント 1

I牧師

おお、穏やかなインド・・・!
師の文章も心なしか叙情的。

かつてシンガポール在だった頃、インド駐在の方が、スーパーにありったけの牛乳を買い込んでいったのを思い出しました。「自分で絞んなきゃいけない」と言っていたのはこういうことだったのか。
by I牧師 (2010-07-03 10:17) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。