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アコンカグア C2から第二次アタック [登山]

朝4時半起床。 暖かい茶を一杯呑み、身支度。

6時半過ぎにヘッドランプの光を頼りに出発。

K君は可哀想に今日は登れずにC2停滞。 テントと一体化して待つことになった。

昨夜は熟睡でき今日は快調。 C2出だしの岩のステップの大きさに少してこずって呼吸が
あえいだが他は呼吸、酸素消費バランス共に順調。 ぐんんぐん高度を上げる。 
6400mのインンディペンンデンシア小屋(現在は強風の為屋根が飛ばされ使用不可)まで2時間。
ここでアイゼン装着。


後ろの木の残骸は世界最高所の避難小屋であったインンディペンンデンシア小屋跡。
現在は使用不可。

ここから雪田を50mほど登るといよいよ頂陵が遠くに見えてくる。 

トラバース(横切り)の道もはっきりと見える。標高270m、2km程のクーロワール(谷)のトラバース。

ここの通過が今回の登山の中で一番辛かった。 
所々の急傾斜の登りに息がついていかず、あえぐ。 一時間半ほどの苦戦の末、横断終了。


トラバース終了点、有名なカナレーターへの取り付き点から今登ってきたトラバースを振り返る。
トラバース踏み跡にきれいに雪が残っている。

横断終了点で苦労したトラバース道をまじまじと振り返りつつ、「カナレーターはどこ?」とガイドの
セルヒオに聞くと、「そこ」とすぐ横を指差す。 

その指差す先を見て、「なにぃ!これかよ!」 と思わず日本語を口に出す。 
45度以上のガレ場だ。 しかも雪とのミックス。
 
気を取り直して登攀のコース取りを見ると、距離は短い。 
しかも上には青空と、頂上に繋がる岩陵が!

しっかりとその頂陵を見据え、「今日絶対登る」と決意する。 
それと共にアドレナリンが身体全体に行き渡り、自然と眉が吊り上っていくのが感じられた。
ここ一番の気合と戦闘態勢準備完了。

カナレーターは右に右に、良く締まった雪渓を利用してアイゼンを利かせて登る。 
30分ほどであっという間に登ってしまった。 登りついた所は南峰と北峰をつなぐ稜線。
夢にまで見た南壁が見える。 大きい。 

このカナレーター終了点から下を見たところ。  

上からだと左側に見える残雪と雪渓を利用して登ってきた。 
途中で先行する二組を何時の間にか抜いたらしいが、集中していたので覚えていない。

休憩を取ろうとするセルヒオを「要らん、行こうぜ!」とせきたて、継続して岩陵を登る。 
20分ほどの登り。 「呼吸を深く、落ち着いていこうぜ」というセルヒオ。 しかし最早呼吸がどうの、
という場合ではない。 表面だけ彼の云う事を聞くふりして鬼神のごとく突き進む。 

小さな岩を回り込んだら突然視界が開けた。 頂上だ。 12時19分。 登頂。
ソウル稲門会では初登頂。(多分)

達成感と嬉しさがこみあげる。
「おめでとう」セルヒオが抱きついてくる。 彼に取っては7回目の登頂だが、やはり一番上まで
仕事をまっとうして行けるのは嬉しいらしい。 しかも今日は今までで一番早く登れたのだそうだ。
C2から5時間半弱。 (おいおい、ならもっとゆっくり歩いてくれればよかったのに・・・) その日の
初登、誰もいない頂上というのも彼には初めてだったらしい。 

カシオの登山用高度計(デジタル時計)。 
気圧の相対変化で計測する為誤差がある。 7005mを指しているのはご愛嬌。 

記念撮影。

・・・・ダースベーダーのテーマが聞こえてくるような・・・・格好悪い・・・・ 
尚、手にしているのは妻の名前+Loveマーク。 
この紙は頂上の十字架の横の箱に納めてきた。

15分程すると、アメリカ人+ガイドが登ってきた。 
ガイド同士は友人らしく、抱き合って喜んでいた。

皆で再度記念撮影。 

植村直己も長谷川恒夫も登攀した南壁。 そう、これを見に来たんだ。 
標高差3000mあるボロボロのもろい壁。 

頂上に45分滞在し、360度の眺望を堪能。 茶とビスケットを頂き、午後1時過ぎに下山。 
この日は待った甲斐があって本当に天候にも恵まれた。 その後聞いた話では1週間後には
降雪があり、C2から上はラッセルで、登れなくなったそうだ。 

我々の後は5組、14名が南半球最高峰6959mの頂上を目指していた。(その内、5名はガイド、
1名は50代の日本人男性。午前一時にC2を出発したそうだ。 プラザデムーラス唯一の女性
ポーターのモニカさんに連れられた、アルゼンチン女性のみで構成されるパーティーの3人にも
会った。)

セルヒオと共に途中で登頂を諦めた登山者達をまとめて道案内しつつ、C2まで2時間弱で
あっという間に下ってきた。 尾根が広く、私一人であれば道に迷ってしまう事だろう。

テントのK君に昨日の仇を取ったと登頂報告。 
彼は一回BCまで下り、明日か明後日に第三次アタックを掛けることになった。

今日はこれから荷物をまとめてBCへ下山。


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コメント 2

はるしず

いつ登頂するかと、毎日、ブログアップを楽しみしておりました。
登頂おめでとうございます。
by はるしず (2006-02-26 23:55) 

izumi

ありがとうございます。 日本を発って10日目に登頂というのは、事前に高度順化をある程度果たしたから出来たわけです(普通は総行程 に3週間、登頂まで2週間以上かけるそうです)。 しかし、それでもなかなか時間が掛かってしまい、てこずりました。 脳天気な私は今年の夏は、そして来年はどこに行こうかをもう考えています。 夏はお気軽に欧州の山へ行こうかと・・・一緒に行かれます? チーズフォンデュ、おいしいですよ!

by izumi (2012-06-19 04:42) 

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